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第2号 マイペース少年A君

  • husk
  • 6月5日
  • 読了時間: 3分

更新日:6月6日

 3年前の春、県外から郡山へ引っ越してきたA君。

A君は小6で英検準2級に合格し、中学英語は習得済み。読書好きで読解力もあり歴史にも詳しくこちらも特に問題なし。

A君の苦手意識のある数学、理科を中心に指導する事になりました。


 吹き抜けの階段を上がった先の、大きな窓のあるオープンスペースで指導していたのですが、A君は毎回、足音を忍ばせて階段を上がり、階段との間にある仕切りの壁を乗り越えると、そーっと私の背後に立つのです。背中に気配を感じ振り向くと、してやったりと茶目っ気たっぷりの笑顔で、満足そうに立つA君。


 時には数学の問題に飽きてくるとテーブルの下に潜り込み背中でスライドして、ひょっこりと顔を出すというユーモラスな動作をしてみたり…。そのひょうきんな姿に思わず笑わされる事もしばしばありました。


 そんなA君は超が付くほどマイペースで、出した宿題も全てやってあるのは稀で、手さえつけていない時もありました。注意しても、叱っても、

「そうですねぇ〜。」と右から左へ流してしまうのです。あくまでもマイペース。毎回根比べでした。


 また、定期テストでは思うように成績が伸びず、どうしたものかと途方に暮れる私を尻目に、相変わらずマイペースなA君。ところが、実力テストになると急に得点、順位をぐんと上げてくる時があるのです。そんな時でさえ、喜んではいるようなのですが、「まあ、こんなもんですかねぇ〜。」と、いたってマイペース。


 私の勝手な分析ですが、A君はとにかくマイペースで周りに左右される事はあまりありません。物事を大局的な視点で見て問題の本質にストレートに焦点を当てる事ができるので、応用問題中心の実力テストの方が馴染み易かったのだろうと思います。

むしろ定期テスト対策に必要な、範囲を把握しその範囲の要点や重要語句を細部まで丁寧に覚え、準備万端にして臨むというやり方には、苦手というより興味が持てなかったのでしょう。


 中3の冬になると、すっかり落ち着き頼もしくなったA君。テスト結果も多少の上下変動はあったものの、やっと右肩上がりの傾向に入っていきました。

それでも、A君はA君。ユーモアとマイペースさは健在でしたが…。


 この春、A君は第一志望校に合格し充実した高校生活を送っています。そのマイペースさには随分と振り回されましたが、A君、あなたのユーモア溢れるマイペースな生き方は、最大の武器であり長所です。


 がんばれ、マイペース少年A君!



〜ちょこっとプラス情報〜

マイペースな生き方の長所についてです。

① あまり落ち込まずメンタル最強

② おおらかで柔軟性がある

③ 楽観的故に自分の考えや信念を

  大切にできる




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